ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。
第11話
「やっぱ何度見ても祥太郎、似合いすぎ! 執事みてえ!」
正人くんが肩を揺らして笑っているけれど、私はそれどころではなかった。
目の前にいる瀬川くん。
白いワイシャツに、黒いパンツ。腰には同じ黒のサロンエプロンをキュッと巻いている。
袖を肘まで捲り上げていて、そこからのぞく腕の筋肉や、浮き出た血管を、バレないようにチラチラと見てしまう。
普段の穏やかな雰囲気とは違う、キビキビとした「働く男の人」の空気を纏っていた。
(……かっこ、いい)
見惚れてしまいそうになるのを、必死でメニューに視線を落として誤魔化す。
「……び、びっくりさせてごめんね」
「いや……全然。来てくれてありがとう」
瀬川くんは、少し照れくさそうにしながらも柔らかく微笑んでくれた。
オーダーを取るために彼が屈み込むと、ふわりと、香水のような大人っぽい香りと、微かなコーヒーの香りがした。
(心臓の音がうるさい……)
私の注文を復唱する彼の声が、いつもより低く、耳の奥に心地よく響く。
これじゃあ、驚かせに来たのか、ドキドキさせられに来たのかわからない。
正人くんが肩を揺らして笑っているけれど、私はそれどころではなかった。
目の前にいる瀬川くん。
白いワイシャツに、黒いパンツ。腰には同じ黒のサロンエプロンをキュッと巻いている。
袖を肘まで捲り上げていて、そこからのぞく腕の筋肉や、浮き出た血管を、バレないようにチラチラと見てしまう。
普段の穏やかな雰囲気とは違う、キビキビとした「働く男の人」の空気を纏っていた。
(……かっこ、いい)
見惚れてしまいそうになるのを、必死でメニューに視線を落として誤魔化す。
「……び、びっくりさせてごめんね」
「いや……全然。来てくれてありがとう」
瀬川くんは、少し照れくさそうにしながらも柔らかく微笑んでくれた。
オーダーを取るために彼が屈み込むと、ふわりと、香水のような大人っぽい香りと、微かなコーヒーの香りがした。
(心臓の音がうるさい……)
私の注文を復唱する彼の声が、いつもより低く、耳の奥に心地よく響く。
これじゃあ、驚かせに来たのか、ドキドキさせられに来たのかわからない。