ふたつの弧が、重なるとき ――元エースピッチャーの彼と、走り高跳びの彼女。熱を持った六年越しの初恋を、不器用に重ね合わせていく。
◇
美絵の住む駅に向かう電車の中。
言葉を探し続けていたが、結局気の利いたことは何も言えなかった。
中学時代からずっと、手の届かない場所で輝いていた存在。
その彼女が僕を好きだと言ってくれて、今、隣にいることが、どうしても現実味を持たない。
中学の時から、ずっと好きだったこと――。
そんなことも、伝えるべきなのか?
いや、今日想いが通じ合ったばかりなのに、六年越しの片思いを打ち明けるなんて、重すぎて引かれるかもしれない。
とりあえず、今はやめておこう……。
そんな葛藤をしながら電車を降り、改札を出た。
夕日の沈みかけた群青色の空の下、街灯に照らされる横顔が幻想的で、あまりにも美しい。
これは、僕の都合のいい夢じゃないかと確かめたくて、いや……ただ彼女に触れたくて、歩きながらそっと手を握った。
(……握ってもよかったかな)
不安になったが、彼女は少し驚きながらも、すぐにしっかりと握り返してくれた。
その確かな感触が、これが現実だということを教えてくれる。
幸せすぎて、僕は今日死んでしまうんじゃないかと本気で震えた。
美絵の住む駅に向かう電車の中。
言葉を探し続けていたが、結局気の利いたことは何も言えなかった。
中学時代からずっと、手の届かない場所で輝いていた存在。
その彼女が僕を好きだと言ってくれて、今、隣にいることが、どうしても現実味を持たない。
中学の時から、ずっと好きだったこと――。
そんなことも、伝えるべきなのか?
いや、今日想いが通じ合ったばかりなのに、六年越しの片思いを打ち明けるなんて、重すぎて引かれるかもしれない。
とりあえず、今はやめておこう……。
そんな葛藤をしながら電車を降り、改札を出た。
夕日の沈みかけた群青色の空の下、街灯に照らされる横顔が幻想的で、あまりにも美しい。
これは、僕の都合のいい夢じゃないかと確かめたくて、いや……ただ彼女に触れたくて、歩きながらそっと手を握った。
(……握ってもよかったかな)
不安になったが、彼女は少し驚きながらも、すぐにしっかりと握り返してくれた。
その確かな感触が、これが現実だということを教えてくれる。
幸せすぎて、僕は今日死んでしまうんじゃないかと本気で震えた。