アースシールド♾️〜地球を守る天才少女は「好き」をまだ知らない〜
紫村ココ
次の日。
二次試験の会場前に着くと、一次の合格者がぞろぞろと集まっていた。
会場の入り口に貼ってあった席次表を確認して、月と会場の中に入る。
大きな教室のような雰囲気だな。
私は1番前の席の右端で、月は後ろの後ろの席か。
「あの子あの子、一番前の端にいる茶髪ロングの子」
「天城糸、実物の破壊力やばいね。芸能人みたい」
「聞こえちゃうって!」
席に着くと同時に、女の子たちのキャピキャピした声が頭をキーンとさせる。
顔が引きつりそうになったとき「糸、気にすんな」と月が私の肩を叩いた。
月は私のことをよく見ているな。
「糸ちゃん…!」
騒いでいた子ではない、紫色のロングヘアの女の子に声をかけられる。
「…なんでしょうか」
髪と同じ色の紫の瞳に引き込まれる。
月も隣で立ち尽くしていた。
「紫村ココ(しむら・ここ)です。覚えていますか」
「紫村ーーって、もしかしてココちゃん?」
ココちゃんのお父さんは父が隊長を勤めていたときの補佐官だった。
父が任務に出るときは、紫村さん(ココちゃんのお父さん)がいつも家に迎えにきてくれて、私も顔馴染みだった。
小さい頃に会ったきりだったので、成長したココちゃんを見て、心が躍る。
もちろんこの間、自分自身も成長しているわけで、成長したココちゃんという言葉は正しくないかもしれないが。
「ココ?」
月が思い出せませんという顔をして私を見る。
「年少さんの頃、うちで開いたパーティーを覚えているか。ココちゃんは紫村さん…あ、ココちゃんのお父さんと来てくれてたんだ」
「あー、あの糸の年齢掛ける100発の花火をあげるってパーティーか」
「そんなどうでもいいことは覚えてるんだな」
「なんだよ! 俺に取ってはどうでもよくねーぞ!」
隣でプンスカしている月を無視して、ココちゃんに久しぶりに会えたことを改めて嬉しく思う。
そういえば、紫村さんは今何をしているのだろうーー。
「糸ちゃんが覚えていてくれて嬉しいな。一次は一位通過だったんだね、さすがだね」
糸ちゃんはあまり表情が豊かな方ではないけれど、言葉の端々からあたたかさを感じた。
「一位通過って、なんで知って…」
お祖父様は組織絡みで知っているようだけど、ココちゃんもお父さん経由か…?
「私は、父にこっそり二位通過だと聞いたの。私が糸ちゃんの後ろの席ってことは、糸ちゃんが一位で、通過順位の順番で席に座らせられているんだろうなって予想」
ココちゃんこそ、さすがだ。
隊員の父を持つだけあって、察しがいい。
「げ、じゃあ俺は三位通過かよ。ガーン」
「月くんも久しぶりだね。私は覚えてるよ。今も糸ちゃんのこと好きで守ってるんだね」
「お、お、お、おい! 何言ってんだよ! 好きとか!」
「月、そんな冗談、気にしすぎだ。私はココちゃんとふたりで話したいから外してくれ」
「な、なんだよ! お前! ちょっとは気にしろよ!」
月はそう吐き捨てて「便所行ってくる!」とどこかへ行ってしまった。
「月くん、大丈夫かな?」
「ほっといて大丈夫。それにしても、ココちゃん、元気そうでよかった。お父さんは? 今、何してる?」
父と母が死んでから疎遠になってしまった紫村さんのことを思い出す。
まだ隊員なのだろうか。
父の後、隊長は別の人になったから、補佐官を続けているわけじやないだろうし。
「父は、補佐官をやめて、今は隊員の任務用スーツを作っているの。もう、糸ちゃんのお父さんとお母さんのような強い人たちを死なせないって」
「任務用のスーツを作る技術者ってことか。すごいな」
「糸ちゃんに会いたいと思うから、試験が終わったら、ぜひうちに遊びに来てくれない?」
「嬉しい。ココちゃんのお家に伺って、紫村さんにもご挨拶したいな」
ココちゃんの手を取って、私が笑顔を向けるとココちゃんも微笑みを浮かべていた。
ーーガラガラガラ。
試験官らしき人が室内に入ってきて、私たちの目の前に立つ。
「じゃあ、また試験後に」
ココちゃんはこそっと私の耳元でそう言って、後ろの席に座った。
ココちゃんも紫村さんも元気でよかった。
正面の試験官の方を向いて座り、案内を待っていると、永久さんは無事に通過したのだろうかとふと思いつく。
周りを見渡したけれど、周囲には姿が見えない。
試験官がマイクを持って、受験者を見渡す。
「一次試験の合格者諸君。まずは一次通過、おめでとう。二次試験はツーマンセルだ。これから、腕に巻く端末を配布する。その端末でツーマンセルのペアを通知するので、演習場前に移動し、速やかに二人組になるように」
スーツ姿の大人が続々と入ってきて、腕に巻くように指示された手のひらサイズの端末を配る。
このスーツの人たちは、試験の運営をしている人たちか。
一次試験の会場で、受付ボックスに入れと促していた人もいるな。
「この端末は、試験中に君たちの体調や位置情報などを確認し、もしものことがあれば救助する」
ペアを通知すると言っていたけど、この端末は連絡用でも使うってことか。
運営の人が端末を配り終え、受験者が腕に端末を巻いていると一斉に音がなった。
ーーピロン。ピロン。ピロン。
受験者にペアの名前が通知されたようで、それぞれの端末に目を落とす。
私のペアはーー。
端末に表示されていた名前は「金縄永久」だったーー。
二次試験の会場前に着くと、一次の合格者がぞろぞろと集まっていた。
会場の入り口に貼ってあった席次表を確認して、月と会場の中に入る。
大きな教室のような雰囲気だな。
私は1番前の席の右端で、月は後ろの後ろの席か。
「あの子あの子、一番前の端にいる茶髪ロングの子」
「天城糸、実物の破壊力やばいね。芸能人みたい」
「聞こえちゃうって!」
席に着くと同時に、女の子たちのキャピキャピした声が頭をキーンとさせる。
顔が引きつりそうになったとき「糸、気にすんな」と月が私の肩を叩いた。
月は私のことをよく見ているな。
「糸ちゃん…!」
騒いでいた子ではない、紫色のロングヘアの女の子に声をかけられる。
「…なんでしょうか」
髪と同じ色の紫の瞳に引き込まれる。
月も隣で立ち尽くしていた。
「紫村ココ(しむら・ここ)です。覚えていますか」
「紫村ーーって、もしかしてココちゃん?」
ココちゃんのお父さんは父が隊長を勤めていたときの補佐官だった。
父が任務に出るときは、紫村さん(ココちゃんのお父さん)がいつも家に迎えにきてくれて、私も顔馴染みだった。
小さい頃に会ったきりだったので、成長したココちゃんを見て、心が躍る。
もちろんこの間、自分自身も成長しているわけで、成長したココちゃんという言葉は正しくないかもしれないが。
「ココ?」
月が思い出せませんという顔をして私を見る。
「年少さんの頃、うちで開いたパーティーを覚えているか。ココちゃんは紫村さん…あ、ココちゃんのお父さんと来てくれてたんだ」
「あー、あの糸の年齢掛ける100発の花火をあげるってパーティーか」
「そんなどうでもいいことは覚えてるんだな」
「なんだよ! 俺に取ってはどうでもよくねーぞ!」
隣でプンスカしている月を無視して、ココちゃんに久しぶりに会えたことを改めて嬉しく思う。
そういえば、紫村さんは今何をしているのだろうーー。
「糸ちゃんが覚えていてくれて嬉しいな。一次は一位通過だったんだね、さすがだね」
糸ちゃんはあまり表情が豊かな方ではないけれど、言葉の端々からあたたかさを感じた。
「一位通過って、なんで知って…」
お祖父様は組織絡みで知っているようだけど、ココちゃんもお父さん経由か…?
「私は、父にこっそり二位通過だと聞いたの。私が糸ちゃんの後ろの席ってことは、糸ちゃんが一位で、通過順位の順番で席に座らせられているんだろうなって予想」
ココちゃんこそ、さすがだ。
隊員の父を持つだけあって、察しがいい。
「げ、じゃあ俺は三位通過かよ。ガーン」
「月くんも久しぶりだね。私は覚えてるよ。今も糸ちゃんのこと好きで守ってるんだね」
「お、お、お、おい! 何言ってんだよ! 好きとか!」
「月、そんな冗談、気にしすぎだ。私はココちゃんとふたりで話したいから外してくれ」
「な、なんだよ! お前! ちょっとは気にしろよ!」
月はそう吐き捨てて「便所行ってくる!」とどこかへ行ってしまった。
「月くん、大丈夫かな?」
「ほっといて大丈夫。それにしても、ココちゃん、元気そうでよかった。お父さんは? 今、何してる?」
父と母が死んでから疎遠になってしまった紫村さんのことを思い出す。
まだ隊員なのだろうか。
父の後、隊長は別の人になったから、補佐官を続けているわけじやないだろうし。
「父は、補佐官をやめて、今は隊員の任務用スーツを作っているの。もう、糸ちゃんのお父さんとお母さんのような強い人たちを死なせないって」
「任務用のスーツを作る技術者ってことか。すごいな」
「糸ちゃんに会いたいと思うから、試験が終わったら、ぜひうちに遊びに来てくれない?」
「嬉しい。ココちゃんのお家に伺って、紫村さんにもご挨拶したいな」
ココちゃんの手を取って、私が笑顔を向けるとココちゃんも微笑みを浮かべていた。
ーーガラガラガラ。
試験官らしき人が室内に入ってきて、私たちの目の前に立つ。
「じゃあ、また試験後に」
ココちゃんはこそっと私の耳元でそう言って、後ろの席に座った。
ココちゃんも紫村さんも元気でよかった。
正面の試験官の方を向いて座り、案内を待っていると、永久さんは無事に通過したのだろうかとふと思いつく。
周りを見渡したけれど、周囲には姿が見えない。
試験官がマイクを持って、受験者を見渡す。
「一次試験の合格者諸君。まずは一次通過、おめでとう。二次試験はツーマンセルだ。これから、腕に巻く端末を配布する。その端末でツーマンセルのペアを通知するので、演習場前に移動し、速やかに二人組になるように」
スーツ姿の大人が続々と入ってきて、腕に巻くように指示された手のひらサイズの端末を配る。
このスーツの人たちは、試験の運営をしている人たちか。
一次試験の会場で、受付ボックスに入れと促していた人もいるな。
「この端末は、試験中に君たちの体調や位置情報などを確認し、もしものことがあれば救助する」
ペアを通知すると言っていたけど、この端末は連絡用でも使うってことか。
運営の人が端末を配り終え、受験者が腕に端末を巻いていると一斉に音がなった。
ーーピロン。ピロン。ピロン。
受験者にペアの名前が通知されたようで、それぞれの端末に目を落とす。
私のペアはーー。
端末に表示されていた名前は「金縄永久」だったーー。