可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「お嬢様は、あなた様ご自身が思っている以上に才能に溢れたお方です。王家といった一部の獣人族は一人の伴侶しか選びませんが、反獣人族派の過激な言い回しでしょう。きっと、よい味方になることはできるはずです」
「私も、そう信じたいわ」
そして間もなく荷物が詰められ、アイリスの乗った馬車が屋敷の主たちの見送りもなく、ひっそりとエティックローズ侯爵家を出発した。
結婚命令と共に、婚姻が国王の力によってその場で成立となるのは滅多にないことだ。
そして挙式もなく『引っ越しをせよ』という命令だけなのも、露骨である。
(何がなんでも大公様には結婚してほしいわけね)
事情は分からないでもない。
ヴァンレック・フォン・ヴァルトクス大公。
二十八歳の美丈夫で、国王の弟にして、国の最高の騎士だ。
黄金色の毛並みを持った狼の獣人族だという王族の特徴である美しい金髪に、金色の瞳をしているそうだ。
その中で彼は唯一〝獣化〟できる能力を持った獣人族で、残虐で狂暴で恐ろしい騎士大公だと知られていた。
「私も、そう信じたいわ」
そして間もなく荷物が詰められ、アイリスの乗った馬車が屋敷の主たちの見送りもなく、ひっそりとエティックローズ侯爵家を出発した。
結婚命令と共に、婚姻が国王の力によってその場で成立となるのは滅多にないことだ。
そして挙式もなく『引っ越しをせよ』という命令だけなのも、露骨である。
(何がなんでも大公様には結婚してほしいわけね)
事情は分からないでもない。
ヴァンレック・フォン・ヴァルトクス大公。
二十八歳の美丈夫で、国王の弟にして、国の最高の騎士だ。
黄金色の毛並みを持った狼の獣人族だという王族の特徴である美しい金髪に、金色の瞳をしているそうだ。
その中で彼は唯一〝獣化〟できる能力を持った獣人族で、残虐で狂暴で恐ろしい騎士大公だと知られていた。