可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「つまり否定的な人族貴族だと、教えられている内容がちょっと屈折しているわけね」
「恐らくは……」

 そのメイドは気にしたそぶりで言葉を濁した。

(大公様みたいに『獣化』の力を持っている獣人族は確かに存在しているんだから、不思議な力も、神獣の話も本当かもしれないのに)

 獣人族に対して差別的な考えを持っている人の解釈なんて、考えたくもないとアイリスは思い直した。こんなことを考えるなんて、目の前にいる彼女たちにも失礼な気がする。

 どういう意図であれ、まったく教えないのはおかしなことである、とアイリスを心配しているのも見て取れる。

(ここは空気を変えましょうか)

 否定的な人族貴族でさえも知っている〝常識的な知識〟を、家族がアイリスに教えなかったという例は、一つや二つではないのだから。

「それで、この地のすごく特徴的な冬の環境の話だけれど、神獣のおかげだというのはどういうことなの?」

 アイリスは窓の向こうを指差す。
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