可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「まぁ奥様っ、そうされてはいけませんわ」
「わたくしたちがいたしますので」

 メイドたちがアイリスからスプーンを取り上げ、手を優しく包み込んで下げさせ、柔らかな布地で顔を拭く。

(見られなかった、わよね?)

 気にしてちらりと視線を上げると、ブロンズがすぐそこまで歩み寄っていた。

「具合を見てきてほしいと旦那様に頼まれました。いかがですか?」

 彼は先程のことは聞かずに、小さく微笑みかけてくる。

「と、とてもよくしていたただいています。ご配慮も感謝申し上げますと、旦那様には御礼を」
「承知いたしました。執務を手早く片付けて、移動される前に一度顔を出すとのことです」
「いえいえっ、そんなお時間取っていただかなくともっ。アリムのほうへ時間を割いてください、と伝えておいて」

 子育てという契約をした手前、気にかけているのだろう。

「奥様、旦那様は自分の目で見たことを信じるお方です。それから、アリム様もこちらにいらっしゃる予定ですから、奥様の言う『父子の時間』計画に支障はないかと」
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