可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 今日あの時間、白いドレスを着たアイリスはとても美しかった。妖艶という言葉が合うドレスを着ると、彼女の本来の美しさが引き出されると思っていたが、それはヴァンレックの勘違いだったみたいだ。

 彼女は、清楚で上品なドレスも大変よく似合った。

 真っ赤な髪は彼女の美貌を引き立てて人々の注意を引き付け、下ろされた長い髪は着るドレスさえも誇張する。

 目を引き寄せられ、彼女の姿を目に収めた瞬間。そして柔らかく微笑みかけてきた彼女の表情にも、ヴァンレックは心臓が止まりそうになった。

 胸を貫かれるような、あんな感覚を受けたのも初めてだった。

 あの時ヴァンレックは、彼女があまりにも美しくて、苛烈で強烈な華というよりは天から舞い降りた女神か森の精霊女王のようで、ただただ言葉が出なかったのだ。

(楽しんでくれて、よかった)

 緊張をほぐしたいと考えて言葉を選んだ。意識して笑いかけると、彼女の表情もアリムがいた時と同じくらい引き出せた。
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