可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アリムが三つの家をくっつけるのを見つめながら、共有されていない納得の理由に思い至ったアイリスは、胸が苦しくなった。

 唯一、苦手意識があったダンスも楽しい。

 ここ最近まで体力作りの日課をこなすことに慣れようとバタついていたが、落ち着ついてきた。

 でも〝それ以上〟を、求めてはいけない。

 アイリスの役目は一時的な子育ての協力者だ。自分がいなくなっても、こうしていい空気がある邸宅内でいてほしい――。

「ん?」

 違った。

 まだ、アイリスかアリムがいないと、空気が微妙になることが一つある。自分やアリムのことが落ち着き始めたところで、最近気になってきていたのだ。

「どうしたのアイリス? 考え事?」
「うーん……パパのことなんだけど、部下とは絆があるのを感じたわ。ここにいる使用人たちとも同じようになれるかしら?」

 ヴァンレックの近くにいるのは騎士たちだけだった。

 アイリスやアリムがいる時には印象が薄れるが、ヴァンレック単体となると、ブロンズ以外の使用人たちは固い空気がある。
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