可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アリムが階段を上がる。

 広すぎて迷子になりそうたなと感じながら、アイリスも続く。

 間もなく彼は一つの部屋に彼は突入した。

 扉を閉められる前にと思って駆け込んだアイリスは、目を丸くする。

 なんとも広すぎる部屋だった。高級家具は高さだって子供向けに考えられてはいるが、子供部屋にしてはあまりに規模がある。

「なんだか殺風景にも見える……あ、面積が余りまくっているせいね。これだと、巨大な獣でもゆうに立ち回れそうだわ」
「ひぇっ、え、えーとアイリス、だっけっ?」

 突然、アリムに名前を呼ばれた。目を向けると逃げたはずの彼が、アイリスの足元まで戻ってきている。

(可愛い)

 後ろに手を回した彼の、下向きに揺れている尻尾もたまらない。

「はい、そうですよ」

 アイリスがにっこり笑い返すると、どこかほっとした様子でアリムが言葉を続けた。

「僕は、その、とくにすることもないんだ。だから戻って」
「することもないのに、お戻りになられたのですか?」
「……パパが帰ってくるまで、部屋にいようと思って」
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