可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(もしかしたら、寂しい思いをしているのかも)

 そう感じた時には、アイリスはアリムの小さな手を取っていた。

「じゃあ『パパ』が帰るまで、部屋で遊べることを一緒にして、待ちましょうか」
「えっ、アイリスと?」
「坊ちゃま、奥様でございます」

 いつの間に追いついたのか、出入り口からブロンズが口を挟む。

「いいのよブロンズ。戸惑わせると思うし。小公子様、私のことはどうぞ『アイリス』とお呼びください」

 彼にとって『母』は、あくまでヴァンレックが心から受け入れた女性だけだ。

「……僕のこと、小公子様って呼ばないで、アリムと呼んでくれるなら」
「喜んで!」

 すると、アリムがじーっとアイリスを見つめてきた。

(何かしら)

 繋いだ手を気にしている感じはないし、警戒されているわけではなさそうだ。

 何やら、興味津々といった感じで観察されているような――。

「アイリスって……なんだか貴族らしくないね?」

 アイリスは固まった。

 ようやく理解した。自分の『喜んで!』の返答のせいだ。
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