可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(し、しまったー! 子供とはいえ、相手は小公子様っ)

 大公様の、大切なご子息様だ。

「き、気軽に接してしまい、誠に申し訳なく――」
「ううんっ、気にしないで! そっちのほうがいいなと思って!」
「そうなの?」

 呆けてまた素の声が出てしまった。アリムも「うん」と気取らない可愛い相槌を打ってきて、その愛らしさにアイリスはくらくらする。

(母親は今どこに、とかいろいろと聞きたいことはあるけど)

 悲しんでいる様子がないところを見ると、母親とはたびたび『パパ』と一緒に会いに行っているのかもしれない。

 でも重要なのは――今、彼が寂しさを感じていること。

 ここへ来るまで母と子の平凡な暮らしがあったはず。そんな彼に必要なのは、純粋に子供相手をしてくれる人だろう。

(つまるところ保育士が必要なわけねっ)

 前世で掛け持ちのバイトをしていた時に経験がある。

 少しの間でも寂しい気持ちを忘れて楽しんでもらえると、アイリスも嬉しい。
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