可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「旦那様は、奥様に貢物をしているのですね」
「貢物? 感謝の印ではないかしら。満月の日のこと、かなりお礼を言われたし」

 あの日、零時を超えたら彼は人の姿に戻れた。

 その際、人に戻ったら裸であることを教えられたアイリスは、隅に用意されていた着替えのほうに背を向けて恥ずかしさを我慢した。

 深夜まで起きていたこと、そしてトドメの精神疲弊で翌日は寝坊してしまった。

 朝食を共にできなかったことをヴァンレックには詫びたが、彼のほうこそ挙動不審だった。

『夜更かしに慣れていないのだから仕方がない。満月の日を担当した者たちも、翌日には休養を取れるようにしてある。気にしなくていい」

 ああ言っていた彼は、むしろ嬉しそうに感じた。

(わざわざ夜更かしに慣れていない部分を、みんなに聞こえるように言わなくったって……)

 思い出してもやっとする。寝る時間が遅くなったらたっぷり眠れるようにします、とメイドたちに力強く言われて恥ずかしかったものだ。
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