可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 動いている時はそう寒さは感じないが、同じ場所にとどまると寒さは感じる、とはシーマスに先日耳打ちされていた。

 帰りにいつも土産を探しているので、団長から何か贈られたら遠慮せずとにかく喜びを見せて、受け取ってあげてほしい、と。

(でも、どうしてそんな日課になっちゃったの?)

 満月の翌日から、ヴァンレックは外出すると何か一つ土産を持ち帰るようになった。

 アリムのもとにまっすぐ向かわず、軍馬を部下に預けて急ぎアイリスを探し、贈り物をする。

「あの、アリムは……」
「まだ昼寝をしている頃だと思うが、聞いてみよう」

 ヴァンレックはそんなことを言うと、来た時と同じく嵐のように出て行った。

「……なんなの?」

 この地では、またまた神獣の恵とやらで冬も果物や花など実るらしい。

 今週に入って花束は三つ目だ。菓子をもらった際には、アリムと一緒に食べてという意味かなと有難く受け取ったのだが、そうお礼を伝えたら花率が上がった。

 これはどう見ても、アイリスへのお土産だ。

「でも、どうして?」

 アイリスは紙に根本が包まれた可愛いお手製の花束を見下ろして、頭に疑問符をいっぱい浮かべた。
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