可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アリムはチェスが好きなようで、二人で着席するなり腕を伸ばしてチェスを触りながら、ルールの説明を始めた。

(ふふ、目をきらきらさせちゃって可愛いわね。説明するのも楽しそうだわ)

 アイリスはにこにこして聞きに徹する。

「かなり話しが盛り上がっておられるようですね」

 間もなくブロンズが戻った。声を聞こえて振り向くと、彼が紅茶一式とおかしが乗ったワゴンを押している。

(あら、てっきりメイドを連れてくると予想していたのに。アリムがメイドに慣れていないのかしら?)
「奥様、大丈夫でしたか? 早めに戻ったつもりでしたか」
「説明を聞いていると、時間もあっという間だったわ」

 子供相手に不慣れかもしれないと心配に思われているのを察知して、アイリスは『任せて』と自信たっぷりの笑みで答えた。

「坊ちゃまも、楽しんでおられたようですね」
「うん! 楽しいよ! アイリスと話してたらもうブロンズが来て、びっくりした。ルールは覚えた?」
「ええ、アリムの説明が上手なおかげね」
「じゃあ、やろうっ」

 すっかり警戒心は溶けたみたいだ。
< 26 / 381 >

この作品をシェア

pagetop