可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 アリムが大きな目をぱちくりとして、それから「へへっ」と嬉しそうな表情を浮かべた。

「喜んでもらえて、嬉しい。心配かけちゃってごめんね」
「そんなことないわ。無事でよかった。それから――本当に、ありがとう」

 アイリスは片手で花を抱きかかえ、もう一つの腕を彼に回した。引き寄せると、アリムは嬉しそうに頬をすり寄せて、抱き締め返してくる。

「ここが好きよ。私が思い返して恋しくなるのは、いつだってアリムたちのいる場所よ」

 心からそう告げた。

(この子の、本当の母親であったらよかったのに)

 愛おしいとアイリスは思った。

 アリムが大好きだ。心から大切に思ってる。

 そんな自覚と共に、これまで目を背け続けてきた事実にも気付かされた。

 ヴァンレックに特別な想いも抱いている。

(だからあの夜、私は危険も考えず、彼のそばにいたんだわ)

 納得したら、すべて腑に落ちた。

 きっと約束された別れを迎える時がきたら、自分は今よりも大泣きしてしまうだろう。アイリスはそんな予感に、一度強く目を閉じた。
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