可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「急な結婚だったでしょう? もしかしたら王都が恋しくなることもあるのかなと思って、まだ枯れる前のものが残っているんじゃないかと探しにきたんだ」
「アリム……私が見たことがあると話したから……」
「うん。パパの花束よりも小さいけど、何本か見つけられたよ」

 はい、とアリムが胸元で握っていた両手を前に出してくる。

 そこには、数本のサリーヌの白い花が握られていた。

「今の僕には、これくらいしかできないけど。僕もアイリスに元気をあげられたかなぁ」

 止まっていた涙が、また溢れ出しそうな予感がした。

「うん、とても……とても嬉しいわ」

 どうにか涙がこらえて笑いかける。手袋を忘れてしまって、指先や関節が赤くなった手をアイリスは伸ばす。

 手はかすかに震えてしまっていた。

 きっと、寒さのせいだと思ってくれるはずだ。

 ヴァンレックが尻尾で風を遮ってくれる優しい空間の中、アイリスはアリムの手から、大切そうにサリーヌの花を受けった。

「ありがとう、アリム」
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