可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 思わず早口でお願いしてしまったアイリスは、ハタと我に返る。

「ごめんなさい。メイドを呼びましょうか」

 慌てて立ち上がり、ベルのほうへ向かう。

「ま、待ったっ。アリム何してるっ、早く翼のほうも人化させろっ」
「え! 残ってる!? あぁあぁ、アイリスお願い待ってー!」

 ヴァンレックとアリムの珍しい焦った声が上がった。

 それはそれで天使っぽいので見てみたい。

 そう思ってアイリスが振り返ると、落ちているブランケット、アリムの背に両手をあてて押しているヴァンレックと、ほっとした瞬間のアリムと目が合った。

「あ、ちゃんと変身完了したよ」

 アイリスは聞き届けるよりも早く、顔を反対方向へ背けていた。

「アイリス?」

 アリムがきょとんとする。

 ヴァンレックが、ふと彼の裸に視線を落とした。すべて悟ったように吐息を長くもらす。

「アリム、まずは服を着ようか」

 後ろでごそごそと二人が動く音が聞こえ始める。

(バ、バレたわ。恥ずかしい……)

 メイドを呼ばなかったのは時間稼ぎだろう。アイリスは、アリムが着替え終わる前に、真っ赤になってしまった顔の熱が引くよう努めた。

 ◇∞◇∞◇
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