可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 どうして疑問形なのだろう。自分も乗り越えてきたことなのに、そんなに遠い昔のことだったりするのだろうか。そうするとやはり、ヴァンレックはかなり早い段階で獣耳と尻尾が人化を?

 なんだか気になったのだが、ぽんっと音がしてアイリスはハッと視線を戻した。

 そこには、見慣れた獣耳と尻尾をはやした裸の子供の姿がある。

「見て! 人の姿にもうまく変身できたよ!」

 アリムがヴァンレックとアイリスの両手を上げて、喜びを全身で伝えた。

 ヴァンレックの子だと実感できて嬉しいのだろう。

「まぁすごいわアリム!」

 アイリスは両手を合わせて彼と喜びを分かち合う。

 けれど同時に、素早く手を伸ばしてブランケットを手に取っていた。下半身から目をそらしたまま、アリムの身体に素早くブランケットを巻く。

「冷えてしまっては大変だわ」

 異性の兄弟さえいなかったアイリスは、子供のものさえ見たことがない。ひとまず下に目を向けないまま続いてヴァンレックに言う。

「ヴァンレック様、服を」
「あ、ああ」
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