可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 お金持ちの買い物とは、こんなものなのだろうか。

 ジュエリーも買おう、合う靴も探してみよう、といろんな店をはしごすることになった。二人ともアイリスの購入品ばかり探し、しばらく今日の外出の目的だった『絵本』という単語さえ頭から飛んでいたくらいだ。

「明日から一つずつ着てみて! 楽しみだねぇ」

 馬車に戻ってあと、アリムは上機嫌に脚を揺らしてそう言っていた。

「そ、そうね……」

 いったい今日でいくら使ったのか。

 果たしてブロンズは倒れてしまわないか?

(もしもの時は私がもらった褒賞から出しましょ……足りるかしら)

 同じく上機嫌な様子で車窓を眺めているヴァンレックの呑気な横顔を見やったアイリスは、気が気でなかったのだった。

 ◇∞◇∞◇

 三日目の朝、執務室へと向かうブロンズからついでに預かった追加書類を胸に抱えて、書斎に向かうアイリスは一人細いため息を吐いた。

(さすが大公邸……私の共感者が全然いない……)

 あれからアイリスは、毎日違うドレスと髪型をメイドたちに仕上げられて一日が始まっていた。
< 290 / 381 >

この作品をシェア

pagetop