可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 あまりにも素敵なので、レベッカ伯爵夫人とのダンスの授業もそのまま行ったほどだ。

『初めての買い物を楽しまれたようで、何よりです』

 あの日、帰宅した際にブロンズに報告したらそう告げられた。大量のドレスのうちの一部が屋敷に届くと、メイドたちも仕分けをはりきっていた。

 騎士たちもすれ違うと、似合っていることを褒めるだけだ。

(おかしいと感じているのは私だけ?)

 これは、アリムの成長祝いのご褒美だったりするのだろうか。

「それにしても規模が違いすぎるわっ」

 書斎に入った際、思わず声に出してしまった。

 でも、そんな自分が今どんな顔をしているのかも分かって、アイリスは扉に背をあてて、ずるずるとしゃがみ込む。

「…………嬉しすぎて、ここずっとうきうきしてるわ」

 表情も緩みっぱなしかもしれない。

 悪女っぽい端正な顔立ちをしているのに、そんなことも忘れて声をかけてくれる屋敷の人たちに、微笑みを返していた。

(こんな髪型、似合わないと思っていたのに)
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