可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
(というか、どうして私が真ん中になるのっ)

 右はヴァンレック、左はアリムがいて、アイリスは恥ずかしくて視線を足元に落とす。

 二人はどちらもアイリスの手を繋ぐと言って聞かなかったのだ。

 けれど、パパとしてどうなのかとヴァンレックに文句も言えない。

 女性たちが見惚れて動けなくなるほどの威力は、アイリスも感じているところだった。

(――ヴァンレック様、素敵すぎっ)

 アイリスは本日、アメシストの上品な色合いをしたドレスを着た。髪は夫人らしくゆるめに結い上げて、装飾品で仕上げる。

 そしてヴァンレックは、彼女と色合いとデザインを揃える形の衣装を着ていた。彼には少し明るすぎるかと思っていた紫混じりの青い礼装は、彼の金髪と明るい金色の目を一層引き立てている。

 筋肉質なのかと思ったら、意外と着やせするタイプであるらしい。ヴァンレックは、すらりとしたフロック・コートも見事に着こなした。

 形のいい広い肩幅は後ろから見ても衣装を美しく見せ、普段は黒なのに、珍しい白い手袋は指先まで彼を極上の貴族紳士に仕上げている。
< 319 / 381 >

この作品をシェア

pagetop