可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「ありがとうございます、そうですよね」
「大切ことを忘れていました……奥様のようなお方は初めてです」
「奥様は押せ押せですよねっ、見習いますっ」

 メイドたちは『奥様のように坊ちゃまに心開いてもらう努力をします』と答えてきた。

「押せ押せ……?」

 気になったものの、彼女たちの目に前向きな輝きが宿ったのはいいことだ。

 ◇◇◇

 身支度を整えてアリムと合流し、彼と手を繋いで建物を出た。

 玄関の外には馬車も軍馬らしき姿も見えない。

 それを確認したアリムは、まだ時間があるからと言って右手の庭園へと進んだ。

「すごいわ」

 彼がまず見せてくれたのは満開の桃色の花の木だった。

「ここでしか見られないんだよ! たくさん見てねっ」

 どういうことかアイリスは気になったものの、子供の彼に尋ねていいのか迷った。すると同行していたブロンズが後ろから説明してくれた。

 この木はポピーテイアと言うそうだ。

 もう少し北に向かった地域に生息しており、春に花を咲かせる。
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