可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「なるほど、だから『ここでしか見られない』と言ったのね……もう夏も盛りは過ぎたけれど、不思議なこともあるものね」

 しかも冷気で出始めているというから、この地域は秋にかかっているだろう。

「さ、坊ちゃま。次を案内してください」

 なぜかブロンズが慌てた様子で言った。

「パパが僕のために作ってくれたブランコもあるよ!」

 春の花がどうして一律に咲いているのかという謎を残したまま、同じくはぐらかすようにアリムが引っ張った先にあったのは、次の庭園との間に設けられた手製のブランコだった。

(物語の庭みたい……)

 そんな感想を抱いて見惚れてしまったのは、前世で見た映画のワンシーンを思い出したからだろうか。

「とても素敵でしょう?」
「ええ、とても素敵ね。パパがアリムのために作ってくれたの?」
「そうだよ! パパ、大好き!」

 アイリスもにっこりと笑顔を返したものの、内心少し緊張した。

(子供にとっては、後退高裁様も一人のパパだものね……私にも寛容だったらいいのだけれど)
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