可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「だが俺も、アリムに負けるつもりはないぞ」
「えっ――」

 肩を抱き寄せられたと感じた一瞬後、ヴァンレックの端正な顔がぐんっと近付いて――アイリスは目尻に口付けられていた。

 柔らかな温もりが、そこにたまっていた涙の粒を吸う。

 国民たちが拍手喝采で盛り上がる。

 バルコニーの向こうで待機していた護衛のシーマスたちが拍手し、近衛騎士隊もメイドたちも笑顔で続く。

 アイリスは真っ赤になった。

「ヴァンレック様っ、みんなが見ている前でするなんてっ」

 アリムを抱っこして両手が使えなかったので、アイリスは一歩下がってヴァンレックから逃れようとする。

「誓いのキスはまだ見せていないぞ」
「え」
「さあもう一度、今度は〝みんなに〟見せてやらないと」

 優しく抱き寄せられて、顎をそっと持ち上げられる。

 待って待って、そうアイリスが思っている間にも、ヴァンレックの唇が近付き、そして間もなく二人の唇が重なっていた。

 人々の「それが見たかった!」という声、「お幸せに!」という声――。

 たくさんの祝いの言葉を恥ずかしく聞きながら、けれど嬉しさが勝ってアイリスも最後は笑って、ヴァンレックと唇を重ね直していた。

 我慢できなくなったアリムが神獣の姿になり、アイリスの胸から飛び出す。

 そして彼が晴れた空に放った黄金色の花火は、まるでこの先の繁栄さえ祝福するかのように美しく、誰もの記憶になる素晴らしい日になったのだった。


                     了
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