可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「坊ちゃまがお一人の時でもおやつを食べてくださるっ、それだけでどんなに嬉しいかっ」

 騎士たちとメイドたちがピクニックシートなど準備する。

 そのかたわらで、コックが袖に目を押し当てた。

(みんな苦労していたみたいなのよね……)

 想像もできないことだが、アリムはヴァンレックがいないと昼食もつつく程度で、おやつの気分じゃないと言って部屋に閉じこもっていたらしい。

 人見知りがあるようだと使用人たちは言っている。

 騎士たちはまた違う感想を抱えていそうだが、そこは話してくれない。

(おやつは大好きみたいだけれど)

 ピクニックの用意が整った。

 そこにおやつを広げてしはらく、アリムはクッキーを食べる手が止まっていない。

 彼のきらきらとした大きなアイスブルーの目は、池を見つめている。

「あっ、アイリス見て! ほらあの子、ピンクとグリーンの二色なんだよ」
「あら、ほんとね。尾びれの色が違うわ」
「みんな色が微妙に違うんだ。はっきり分かれている小魚はレアだし、単色の子は小さいけどきらきらして綺麗だよっ。ほら、ブロンズも見てよ」
「はい、坊ちゃま」
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