可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「忙しいのにごめんなさいね……」
「坊ちゃまの希望ですから」

 彼が答えると、居合わせ、護衛役に自薦してきたシーマスが言う。

「アリム様自らに『みんなで!』と希望されちゃあ、付き合うってもんですよ」
「奥様に対しての言葉遣いがなっていないようだが――」
「ああいいのよ、ブロンズ」

 アリムと毎日たくさん歩いているおかげで、シーマスを含め騎士たちとも軽い会話くらいはできるようになった。

 信頼されているかどうかは考えないことにしている。

 一緒にいる時は『悪女』ではなく『夫人』として話してくれている。今は、それだけでいい。

 ヴァンレックのもとにいるのだから、そう悪いことはできないだろうと考えて問題外にしてくれているのなら、尚嬉しいけれど――。

 広大な敷地内には湖もあるそうだが、今回は人口池だ。

 それは庭園の一部として設けられていて、小さな魚をアリムは眺めるのが気に入っているという。

 だから、アイリスはそばでじっくり観察するのはどうかと提案した。

 それがピクニックだ。
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