可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「好きでしているだけですので、すごいという実感は……私も楽しんでいますし。アリムにどんなことをして楽しんでもらおうか、次の計画を立てるのも楽しいです」
「確かに、ベリーバイも美味しそうに食べていたな」
「み、見ていらしたのですかっ?」

 まさか、と目を剥くと、ヴァンレックが首を傾げるようにして覗き込んでくる。

「なぜ恥ずかしがる?」
「夢中になってぱくぱく食べてしまっていたからで……見られるなんて思っていない状態でしたし……距離もあったではありませんか」
「獣人族は目がいい。意識すれば好きなだけ遠くのものを視認できる」

 なんてチートな能力なのだろう。

(あの距離から私の表情まで見えていたということ?)

 相手は我が子のこととなると、無害で嘘もつけそうにないイケメンだ。

 気にせず食べていた様子を見られていたことを思うと、何やら恥ずかしくなってきて視線が落ちる。

 すると向かいから彼の声が続いた。

「――そういう反応も、できるじゃないか」
「え?」

 風が気持ちよく流れていった。

 横髪を押さえたアイリスは、聞こえたほうへ顔を向ける。

 同時にヴァンレックが、池のほうへと顔を背けた。
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