可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「いや、君は想像以上によくやっている。あの子がブロンズにあれだけ話しかけているのも、初めて見る光景だ」

 ヴァンレックが顎に手を当てる。

 感心されているらしい。少しくすぐったい気持ちになった。

「心を開いてくれたからでしょう」

 そうアイリスが答えたら、彼が目を緩やかに見開く。

 たびたびこの意外そうな目をされる気がした。思えば彼だけでなく、他の人でもよく見ているような気がする。

「……あの、何か?」

 じっと見つめられて落ち着かない気分になってきた。

 怖い空気を醸し出していないヴァンレックは、アイリスにとって美しすぎる。

「あっ、いや、感心しただけだ。保育専門の才能があるかもしれない」
「そんな大袈裟な――」
「大袈裟ではない。五日ですごいな」

 まだ五日なのかとアイリスも気付いた。

(心地がよすぎて、もっと長くいた感覚だったわ)

 日々が充実しているからだろう。

 自分のドレスを買いに行く算段をする暇もなく、雑務の手伝い。アリムの行動に応じて都度動き、付きっきりで世話をする。

 実家にはなかった忙しさは遣り甲斐があった。
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