可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 表情と台詞が合っていない。

(結構褒められているわ)

 どう反応すればいいのか分からない。

 慣れ始めている雑務処理、これをこうしましたと彼の書斎机や執務机に残す引継ぎの報告メモ。彼から何かしらのアクションがもらえるとは思っていなかったが、機嫌を損ねないかどうかは気になっていた。

 ブロンズや騎士団の補佐官であるシーマスに、普段どうまとめているのかそれとなく参考にしようと聞いていたところだ。

 ヴァンレックの仕事が少しでも円滑にいくといいと願っていたが、役には立っているらしい。

 そして本日の子守り内容にも、問題はない。

(それなのに、何がご不満なのかしら……?)

 大急ぎで考えるものの、報告する自分の態度にはなんら問題を見つけられなかった。

「だが、短い」
「……はい?」

 思ってもいなかった言葉に、アイリスの頭の中はさらに真っ白になる。

「君は、アリムとはたくさん話すだろう」
 
 どうして〝子供〟と比べるのか。

(アリムとの会話はお喋りで、大公様との会話は業務報告ですが?)
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