可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
「は?」

 ヴァンレックは、自分の口から素っ頓狂な声が出るのを聞いた。

「なんですか、その顔は?」
「いつの話だ。というかお前はよく話すのか?」
「アリム様を見ていて分かるでしょう。彼女、話しがすごく上手ですよ。俺だって話しますし。分け隔てないというか、休憩中は身分も関係ないだろうと俺らを一瞬にして言いくるめて――」

 誘われたのだとシーマスは言った。

 アリムがお昼寝をすると、アイリスは雑務処理か休憩になる。

 その時の彼女は休憩していたらしい。アリムがそのまま寝入ったサロンの窓を越えて、その下に座ってよそよそと風を受けながらクッキーを食べていたそうだ。

 それが意外でみんな足を止めた。通りすがりのメイド、そうしたら見回りのシーマスたちも一時休憩をどうか、と誘われたという。

 普段はブロンズかアリムがそばにいるから、話す機会はなかなかない。

 あなたたちのことを聞かせて、と。

(笑顔で)

 ヴァンレックは、話したシーマスの言葉を、心の中で繰り返してしまった。
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