可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 うかがってきたのはシーマスで、ヴァンレックは許可を出した。

「お帰りなさいませ。警備のご報告にまいりました」
「ちょうどよかった。アイリス嬢のことについて聞きたい」
「……奥様の?」

 入室してきたシーマスの顔には『いつも定期報告しているが?』と書いてある。

「噂のことだ」
「ああ、そっちですか。あれって本当なんですかね?」

 書類を抱え直し、歩み寄ってくるシーマス表情は懐疑的だ。やはり同じ感想を抱いていたらしい。

「あれほどの容姿ですし派手でいまだびっくりしますが、こざっぱりしていて嫌な空気は感じないんですよね。何より、同性の使用人たちの好感度が高いので、俺は噂のほうを疑っています」

 断言できた彼に、ヴァンレックは密かに驚いてしまった。

「俺は女性のことはよく知らないんだが……そんなものか?」
「女性たちは結構同性に鋭いですよ。とくに、ここで働いている者は王妃様が厳選した者たちですので、下心を察知して警戒心が働くかと。俺、奥様は結構信用していいお方なのではないかと思っています。嫌がるそぶりもなく俺ら見回りやメイドたちも、ご自身の休憩に参加させていましたし」
< 83 / 381 >

この作品をシェア

pagetop