可愛いあの子の継母になるなら、獣人大公の嫌われ妻でも構いませんわ!〜どうやら私は侯爵家の悪女のようです〜
 言えないあれやこれやの事情を凝縮したみたいだ。

 アイリスは、彼が語った狼の獣人族の執着が、自分が思い浮かべているものとはだいぶ傾向が違うことを感じた。

「アリムはただただ親が恋しいのだと思います。まだまだ両親が必要な年頃ですもの」

 説明のために、今言える範囲でヴァンレックは家の(王家の)事情を語ってくれた。これ以上は何も言えそうにない空気なので、アイリスは『もう聞きません』と示すように冷静に言葉を切り返した。

 王家の話なんてアイリスには遠い存在であるし、王族の話題は長生きしたければしないほうが賢い生き方だ。

 アイリスの目標は生きること。そして、幸せを掴むことだ。

 離縁してようやく自由というスタートラインに立ったら、幸せを探しに行く。

(それまでは、この世界で何がしたいのかは考えない)

 邸宅に置いてもらっている条件の『子育て』を、アリム自身のためにも、脇目もふらず全力で向き合う心構えだ。

「王家の〝狼〟はどれも癖が強い印象だ。アリムの度合は不明だが、気を付けてほしい」
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