第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
そして三人でババ抜きをしていたら、
あっさりとトワが勝ち抜けし、
私とレオがラスト一枚で睨み合うことになった。
「んー……どっちだ……どっちだぁ!?」
唸るように言いながら、レオがカードを見比べる。
「こ、こっち!!」
――ぱしっ。
「うわぁ! ババだーー!」
「はい、残念。次は私の番ね」
そう言ってカードを引こうとした、その時。
「レオっ!」
びくっと竿がしなり、
トワが釣り竿を必死に引っ張っている。
「おお!? なんだなんだ!
エンジェルドラゴンか!?」
「まさか……」
そう言いながらも、レオはすぐにトワの後ろに回り、
一緒に竿を掴んだ。
「うおっ、重い!!」
「ほ、本当だ……!」
三人で力を込めるが、びくともしない。
それどころか、じわじわと引きずられる。
だめだ。
三人では引き上げられない。
――それに。
水面が、妙に騒いでいる。
風向きも、さっきまでと明らかに違う。
「……ねえなんか変じゃない?」
「やばい!お嬢さん!落ちるー!!」
レオが慌てて竿を引っ張っている。
このままでは三人で湖に落ちてしまう。
よしっ。
「レオ、トワしっかり踏ん張っててね!」
「え!?」
「は、はい!」
返事を聞く前に私は二人から手を離し、短剣を抜いた。
「蒼き風よ……導け。ラピスラズリ」
一振り。
刃を走った魔力が風を裂き、水面の流れが変わる。
乱れていた風向きが一瞬で整い、釣り竿に“押す力”が生まれた。
「お嬢さん、さすが!!
トワ坊ちゃん、網!!」
「は、はい!!」
三人がかりで一気に引き上げる。
水面が割れ、飛沫と共に姿を現した――それは。
「……なに、これ?」
思わず声が漏れた。
体長は、せいぜ十五センチほど。
想像していた“十メートル級の怪物魚”とは、あまりにも違う。
「魚……ですよね?」
トワが恐る恐る覗き込む。
「うーん……これじゃあ3人で分けるには小さいな!」
レオが首を傾げる。
「……でも、これ」
私が網の中を指さす。
「レオが描いてた絵と、似てない?」
「確かに……特に、髭のあたりが」
トワが目を凝らす。
「うんうん!
俺のはもうちょい格好よかったけど!」
「そこはどうでもいいよ」
「ひど!お嬢さん俺の絵上手いっていったじゃん!」
「……それになんだか、鼓動が他の魚とは違うわね」
そう呟いた瞬間だった。
澄んだ風が、心臓の位置に渦を巻いて見える。
「……まさか、魔宝石?」
「確かに……」
トワも目を凝らす。
「言われてみると、淡く光ってますね」
「すごい!!」
レオが、弾んだ声を上げた。
あっさりとトワが勝ち抜けし、
私とレオがラスト一枚で睨み合うことになった。
「んー……どっちだ……どっちだぁ!?」
唸るように言いながら、レオがカードを見比べる。
「こ、こっち!!」
――ぱしっ。
「うわぁ! ババだーー!」
「はい、残念。次は私の番ね」
そう言ってカードを引こうとした、その時。
「レオっ!」
びくっと竿がしなり、
トワが釣り竿を必死に引っ張っている。
「おお!? なんだなんだ!
エンジェルドラゴンか!?」
「まさか……」
そう言いながらも、レオはすぐにトワの後ろに回り、
一緒に竿を掴んだ。
「うおっ、重い!!」
「ほ、本当だ……!」
三人で力を込めるが、びくともしない。
それどころか、じわじわと引きずられる。
だめだ。
三人では引き上げられない。
――それに。
水面が、妙に騒いでいる。
風向きも、さっきまでと明らかに違う。
「……ねえなんか変じゃない?」
「やばい!お嬢さん!落ちるー!!」
レオが慌てて竿を引っ張っている。
このままでは三人で湖に落ちてしまう。
よしっ。
「レオ、トワしっかり踏ん張っててね!」
「え!?」
「は、はい!」
返事を聞く前に私は二人から手を離し、短剣を抜いた。
「蒼き風よ……導け。ラピスラズリ」
一振り。
刃を走った魔力が風を裂き、水面の流れが変わる。
乱れていた風向きが一瞬で整い、釣り竿に“押す力”が生まれた。
「お嬢さん、さすが!!
トワ坊ちゃん、網!!」
「は、はい!!」
三人がかりで一気に引き上げる。
水面が割れ、飛沫と共に姿を現した――それは。
「……なに、これ?」
思わず声が漏れた。
体長は、せいぜ十五センチほど。
想像していた“十メートル級の怪物魚”とは、あまりにも違う。
「魚……ですよね?」
トワが恐る恐る覗き込む。
「うーん……これじゃあ3人で分けるには小さいな!」
レオが首を傾げる。
「……でも、これ」
私が網の中を指さす。
「レオが描いてた絵と、似てない?」
「確かに……特に、髭のあたりが」
トワが目を凝らす。
「うんうん!
俺のはもうちょい格好よかったけど!」
「そこはどうでもいいよ」
「ひど!お嬢さん俺の絵上手いっていったじゃん!」
「……それになんだか、鼓動が他の魚とは違うわね」
そう呟いた瞬間だった。
澄んだ風が、心臓の位置に渦を巻いて見える。
「……まさか、魔宝石?」
「確かに……」
トワも目を凝らす。
「言われてみると、淡く光ってますね」
「すごい!!」
レオが、弾んだ声を上げた。