第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
今度はディランがグラスを傾ける。
「俺はね」
ランプの光を見つめながら、ゆっくりと続けた。
「彼女の“選び方”が好きだ」
俺は視線を上げる。
「選び方?」
「そう。
誰かに言われたからでも、
立場や義務だからでもない」
ディランの声が、わずかに低くなる。
「いつも自分で考えて、決めて、引き受ける。
それがどれほど重いか知っているのにね」
俺は何も言わず、酒を一口飲んだ。
「それに」
ディランは、苦笑するように笑う。
「人を見る目がある。
そして……惹き寄せる力が、やたら強い」
「……そうですね」
短く頷く。
俺もまた、
彼女に惹き寄せられた一人だ。
そう思いながら、視線を逸らした。
グラスの中で、琥珀色の酒が静かに揺れた。
こんなふうに、お嬢様のことを
誰かに話したことなど、今までなかったな。
「あとは…そうだな。
俺自身を、見てくれるところかな」
「王子でもなく、立場でもなく。」
「人として、だ」
「俺の狡いところも、弱いところも、
全部見抜かれてる。
隠してきたはずなのにね」
そう言って、苦笑する。
「10年も、ユウリに頼んで本を渡させていたら……
“まどろっこしい”って言われたよ」
思わず、笑いが漏れた。
(……10年)
その時間の重みを思い、
胸の奥が、きゅっと締め付けられる。
「お嬢様は……
強引で、人のところにズカズカ入ってくるんです」
そう言うと、
「わかるな。
痛いところも、平気で突いてくる……」
ディランも、ゆっくり頷いた。
「心を揺らすのも、うまいんです。
だから、どうしようもなく……」
「「……ずるい!」」
2人の声が、重なった。
次の瞬間、
また笑いが溢れる。
(本当に)
立場も、距離も、想いの形も違う。
それでも――
同じ人に、心を掴まれている。
それだけは、
否定しようもなかった。
「俺はね」
ランプの光を見つめながら、ゆっくりと続けた。
「彼女の“選び方”が好きだ」
俺は視線を上げる。
「選び方?」
「そう。
誰かに言われたからでも、
立場や義務だからでもない」
ディランの声が、わずかに低くなる。
「いつも自分で考えて、決めて、引き受ける。
それがどれほど重いか知っているのにね」
俺は何も言わず、酒を一口飲んだ。
「それに」
ディランは、苦笑するように笑う。
「人を見る目がある。
そして……惹き寄せる力が、やたら強い」
「……そうですね」
短く頷く。
俺もまた、
彼女に惹き寄せられた一人だ。
そう思いながら、視線を逸らした。
グラスの中で、琥珀色の酒が静かに揺れた。
こんなふうに、お嬢様のことを
誰かに話したことなど、今までなかったな。
「あとは…そうだな。
俺自身を、見てくれるところかな」
「王子でもなく、立場でもなく。」
「人として、だ」
「俺の狡いところも、弱いところも、
全部見抜かれてる。
隠してきたはずなのにね」
そう言って、苦笑する。
「10年も、ユウリに頼んで本を渡させていたら……
“まどろっこしい”って言われたよ」
思わず、笑いが漏れた。
(……10年)
その時間の重みを思い、
胸の奥が、きゅっと締め付けられる。
「お嬢様は……
強引で、人のところにズカズカ入ってくるんです」
そう言うと、
「わかるな。
痛いところも、平気で突いてくる……」
ディランも、ゆっくり頷いた。
「心を揺らすのも、うまいんです。
だから、どうしようもなく……」
「「……ずるい!」」
2人の声が、重なった。
次の瞬間、
また笑いが溢れる。
(本当に)
立場も、距離も、想いの形も違う。
それでも――
同じ人に、心を掴まれている。
それだけは、
否定しようもなかった。