第3部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
番外編 ごっこ遊びの代償
ブティック〈グロウ〉にて。
店へ差し入れを手に訪れたところ――
「ねぇ、ティアナちゃん。買い物行きましょ」
突然、ルイにそう言われた。
「え? ルイ、今すごく忙しいって言ってなかった?」
首を傾げる。
ガイルを倒すために、だいぶお店を空けてた。
そのツケが回ってきてるはずだ。
「もう無理ー!」
ルイは大げさに頭を抱える。
ミルクティー色の髪がいつもより乱れている。
「インスピレーションが全然湧かないのよ!
ここらでリフレッシュしないと、ほんと無理!」
「……ルイがそれでいいなら、いいけど」
「ほ、ほんと!?」
ぱっと顔を上げるルイ。
「じゃあ、アリスも一緒に!」
「私は構いませんが」
「決まりね!」
ルイは勢いよく手を叩いた。
「善は急げよ、急げ!」
そう言って、ルイに連れてこられたのは――
「まずは! 体のリフレッシュよ!
はいはい、入ってー!」
有無を言わさず案内された部屋に入り、
気づけば私はアリスと並んでベッドに寝かされていた。
カーテンの向こうには、ルイ。
「それでは〜、もんでいきますね!」
次の瞬間、
どこから湧いてきたのかわからないお姉様方がわらわら現れ、
私の身体を包囲する。
「いった!! いたたたたた!」
「毒素が溜まってますね〜。
悪いものがあると、痛いんですよ〜」
にこやかに言われたが、
その手つきは完全に尋問官のそれだ。
横を見る。
「気持ちいいですね。
そこ、もう少し強めでお願いします」
……え?
「え、痛くないの?」
「はい?」
いや、「はい?」じゃない。
カーテンの向こうからは、
「いいわ〜、これこれ。きくぅ〜」
と、完全に別世界の声。
ちょっと待って。
この部屋、私だけ罰ゲーム会場じゃない?
「お客様、だいぶ凝ってますね。
まだお若いのに」
そう言われた瞬間――
ぐり。
ぐりぐり。
「いったいよぉぉぉ!!」
「大丈夫ですよ〜。
効いてる証拠ですから〜」
いやほんとに!?