非道な殺し屋頭領は、甘美な毒で花を欺く
「ねえ、ちょっと! お団子はまだなの?」
椛が動きを止めていると、暖簾の向こうから客の苛立った声が聞こえてくる。その声で我に返った椛は、慌てて急須を置いて、団子とお茶をのせたお盆を持ち上げた。
「はーい! ただいまお持ちします」
暖簾の向こうに大きな声でそう答えたあと、暁を少し振り返る。
暁は相変わらず畳に肘をついて寝ころんだまま、含みのある目で椛を見てきた。おそらく、彼はまだ待っているのだ。椛が彼の名を呼ぶことを。
「お団子の追加お願いしますね、暁さん」
椛が遠慮がちに名前を呼ぶと、暁がニヤリと口角を引き上げた。
「承知した」
満足そうな彼の表情が、椛の感情を揺さぶる。なぜか耳朶が熱くなるのを感じて、椛は慌てて暁に背を向けた。