胡蝶の夢を貴方と
「若紫。ちょっといいかい」
部屋の襖が開き、若紫は振り返る。そこにはこの見世の女将が立っていた。その目はどこか爛々と輝いている。いつも無愛想で有名な女将がこれほど興奮した様子を見せるのは珍しい。
「女将さん。どうしたんですか?」
「あんたの身請けが決まったんだよ!!」
女将は大きな声を出す。身請けーーーそれは遊女の抱えた借金を客が代わりに支払い、妻か妾に引き取る遊女を引き取ること。年季が明ける前に自由になれる唯一の方法であり、多くの遊女が待ち望むものである。
(身請け……。一体誰に?)
若紫の頭の中に龍之介の顔が浮かぶ。トクトクと胸が高鳴っていった。
「誰にわっちは身請けされるんですか?」
若紫の期待が高まっていく。しかし、笑顔で女将が言った名前に若紫の表情が強張った。
「鴨太郎(かもたろう)さんだよ。ほら、あんたのところに毎月来てるじゃないか!」
鴨太郎は豪商の男であり、吉原に足を運んではたくさんお金を落としてくれる。女将が喜ぶのも当然だろう。
部屋の襖が開き、若紫は振り返る。そこにはこの見世の女将が立っていた。その目はどこか爛々と輝いている。いつも無愛想で有名な女将がこれほど興奮した様子を見せるのは珍しい。
「女将さん。どうしたんですか?」
「あんたの身請けが決まったんだよ!!」
女将は大きな声を出す。身請けーーーそれは遊女の抱えた借金を客が代わりに支払い、妻か妾に引き取る遊女を引き取ること。年季が明ける前に自由になれる唯一の方法であり、多くの遊女が待ち望むものである。
(身請け……。一体誰に?)
若紫の頭の中に龍之介の顔が浮かぶ。トクトクと胸が高鳴っていった。
「誰にわっちは身請けされるんですか?」
若紫の期待が高まっていく。しかし、笑顔で女将が言った名前に若紫の表情が強張った。
「鴨太郎(かもたろう)さんだよ。ほら、あんたのところに毎月来てるじゃないか!」
鴨太郎は豪商の男であり、吉原に足を運んではたくさんお金を落としてくれる。女将が喜ぶのも当然だろう。