【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 リカルドは何も言わずにただ微笑むスイレンを見て、何故か苦しそうな顔をして片手を口に当てた。

「スイレン……もう少し、もう少しだけ待ってほしい。そうしたら、君に言いたいことがある」

 リカルドの言葉を聞いた途端に胸が苦しくなり、どうしても期待をしてしまう心を止められなかった。

 彼のことが本当に心から好きで、他には何も目に入らなくなってしまう。ただただ好きで、勘違いかもしれないと思っても。それでもどうしても、もしかしてが捨てられなくなってきて。

(彼は私を天国に行かせることも、地獄に落とすことも……その眼差しや言葉ひとつで出来る)


◇◆◇



「いらっしゃい。スイレンちゃん。初出勤日だし、緊張するだろう。今日僕は丁度休みだから、付き合うよ」

 何度かの彼との手紙のやりとりの内に打ち合わせていた通りに、ブレンダンは店先にまでスイレンを迎えに出てきてくれた。

 今日は竜の姿での仕事がないと言って人型になっていたワーウィックもスイレンの行く先に付いて来たがったが、仕事場にまで着いていくのはルール違反だとリカルドに諭されて、不満を言いつつも家で留守番をすることになった。

< 119 / 340 >

この作品をシェア

pagetop