【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
(何か……言いたそうに見えた? ううん。私の勘違いかな……)

 きっと、自分が良いように解釈したいだけだと、スイレンは頭を小さく振った。

 こちらをじっと見つめているだけのリカルドを少しだけ驚かせてみようかと、悪戯心の沸いたスイレンは、檻の中央に置かれた椅子に座る彼の目の前に、魔法の花を一輪咲かせた。

 花の元となる種から咲かせる生花ではなく、こうして無の空間に生み出した魔法の花は、時間が経つと何の跡形もなく消えてしまう。

 リカルドは空中に落ちることもなく浮いている花を見て、驚いたようにして目を見張る。

 そして、視線を戻して檻の外に居るスイレンのことを見た。

 彼が反応してくれたという嬉しさに、スイレンは調子に乗って、いくつかの花を彼の周囲の空間に咲かせた。

 リカルドは重力に逆らいふわふわと宙に浮かぶ花を、信じられないというような表情で、じっと見ていた。

 ちょうどその時に、いくつかの荒々しい足音がこちらにやって来るのを耳にしたスイレンは、自分はここに居るのは良くないとはっとしてから身を翻した。

(私を、見てくれた! 嬉しい!)

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