【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 慌ててその場を離れようと走った勢いで、舞った花びらがひらひらと道に落ちて、いくつかの花がダメになってしまった。

 そんなことなど全く気にならないほどに、スイレンは彼に恋をしてしまった。

 その日の仕事が終わり、また叔母のマーサに役立たずと罵られ、狭くて暗い小屋に入って一人でも、スイレンの心は彼に会えた嬉しさで浮き立っていた。

(ほとんど、無表情だったのに……すごく、驚いてた)

 隣国ヴェリエフェンディでは、古い魔法の使い手は少なく、新しい技術が隆盛し敢えて残そうとすることもないので、魔法はどんどん衰退していってしまっているらしい。

 花魔法は、それだけではお金を稼げる程ではない。

 けれど、魔法大国と呼ばれているガヴェアでも使える人が少ない。

 きっと、あんなに驚いていたリカルドはスイレンが生み出した魔法の花を初めて見たんだろう。

「明日も、会いたいな……」

 薄い毛布に包まり寒さにかじかむ手を揉み込みながら、スイレンは願った。

 あの人は敵国の英雄で、竜騎士で。

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