【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 それを確認してから衛兵は頷き、スイレンがここに来た目的である、竜騎士のリカルドが今仕事しているという執務棟までの道を教えてくれた。

 凱旋式の時のように、一般開放されていた場所とは全く様子が違う。執務棟へと繋がる通路には、城で働く文官や女官などが忙しく長い廊下を行ったり来たりしている。

 スイレンは彼らの様子を見るとはなしに、美しく整えられた庭園の方向に目を向けた。

 その場所には、竜騎士のみに着ることを許された黒い騎士服を身に纏う大きな身体と燃えるような赤髪のリカルドの後ろ姿があった。

 目的の彼を見つけて、スイレンは慌てて外に出るために来た道を戻る。確か外に出ることの出来る扉があったはずだ。

 先ほど見た庭園へ出入りが出来る辺りまで来て、リカルドの名前を呼ぼうとして、スイレンは思わず身を固まらせてしまった。

 リカルドは凱旋式の時に見かけた金髪の美しい婚約者と、共に居たからだ。二人が親しげに話す様子に目を奪われ言葉を出せぬまま、スイレンは東屋の方向へと進む二人を見送った。

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