【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 そこから、スイレンを気に入った彼女からの紹介が繋がっていって、今では街で一人暮らしするには十分な金額を稼ぐことが出来ている。

 だからこそ、スイレンは決断を下すことに決めた。

「はい」

(これで、もう……戻れなくなる)

 退路を断ちたいという思いで逡巡しながらも頷いたスイレンは、ぐっと握った手に力を込めた。

 何もかもを持っているリカルドから、逃れる方法なんていくつも思い浮かばない。

 ジョルジオがもし匿うことについて難色を示せば、たった一人だとしても、この街を出立することも考えてもいた。

 スイレンの使う花魔法は、思っていたよりも魔法を使う人のあまりいないヴェリエフェンディでは、お金になることを理解してしまっていた。自分一人でも、きっとどうにかなるだろうという変な自信もあった。

「……成る程。結ばれる事はないと彼を忘れるために、自分から離れて彼の前から消えることを選ぶのか。彼は、君が突然居なくなったら、悲しむと思うよ。それは、考えた?」

 感情を見せないジョルジオは探るように、スイレンに問い掛けた。

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