【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 馬車を降りたスイレンは、その高い声を聞き彼女を見て驚いた。

 先ほど到着したばかりのスイレンとは反対に、横付けされた馬車に乗車して帰るところなのだろう。

 幾度か遠目に見たことのある金髪の美しい令嬢が、やけに嬉しそうな顔をしてこちらを見つめていた。

(リカルド様の婚約者……)

 そう認識してしまえば、例えようもないくらい胸が激しくズキンと痛んだ。

 イジェマは、リカルドのれっきとした正式な婚約者なのだ。親同士が決めたというから、きっとお互いの家にとって価値のある婚約なのだろう。彼を訪ねて家を訪問していても、何ら不思議はない。

 むしろ、ここに居るのが不思議に思われるのは、平民のスイレンなのだ。

「貴女。リカルドの可愛い人でしょう。私、知っているわ」

 イジェマの言葉を聞いて、スイレンは大きく驚き目を見開いてしまった。

 彼女は、スイレンの存在を知っているのだ。

(可愛い人って、どういう事? もしかしたら、恋人だと……そういう意味?)

 突然の邂逅に混乱してしまった頭では、満足に物が考えられない。

< 138 / 340 >

この作品をシェア

pagetop