【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 こんな時にも、スイレンは自分の手に汗をかいてないかと気になって仕方なかった。階段を昇り、彼の部屋へと真っ直ぐ進む。

 部屋の中に入ってすぐに、待ち切れないと言わんばかりにリカルドはスイレンを抱き寄せて唇にキスをした。

 角度を変えて何回も繰り返されるリカルドのキスに、スイレンの胸はいっぱいになった。大好きで、好きで、本当に求めている人とする初めてのキスは、心までとろけそうなほどだった。

 自分の身体を支えて居られなくなり、そのままよろけそうになったスイレンをリカルドは事もなげに抱き上げた。

「緊張してる?」

 自分の言葉を聞いて、真っ赤な顔をして、何度も頷くスイレンを愛しそうに見つめ、リカルドは、もう一度キスをした。

「大丈夫。今夜は、そういうことはしないから。でも、今まで長い間、我慢していたから。少しだけ……良い?」

 大好きな茶色い目を合わせて、響きの良い甘い声で自分を気遣うように聞いてくれるから、スイレンはまた嬉しくなって思わず泣きたくなった。

(……ずっと、我慢をしていたって……どういう事?)

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