【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
「俺も、嬉しい。君がずっと俺のことを好意的に見て好きで居てくれたのは、わかっていたけれど……俺に、婚約者が居る間は、どうしても動くことが出来なかった。もし、箍が外れて、二人がそういう仲になってしまったら……貴族の俺ではなく、弱い立場に居る君が誰かから非難されるのは、目に見えていた事だったから。貴族間のことだったので、色々と手続きが面倒で時間がかかった。待たせて、悪かった。スイレンを誰にも渡したくない」

 そういえば、リカルドはこれまで言葉が少なく、強い感情を表に出すこともしなかった。

 それは、彼が必死で感情を抑えて平常心を保とうと努力していたからかもしれない。

「ふふっ……あの、私は。リカルド様を見たその時から、ずっとずっと貴方のことが、好きなんです。この身を捧げても構わないと、そう思うほど」

 吸い込まれそうな彼の茶色の瞳の中、照れて微笑む自分の姿が見えた。

 リカルドは自らの大きな体で覆うように抱き抱えているスイレンの頭に、キスの雨を降らせると、小さな子どもや小動物を相手にしているように優しく顔に頬擦りをした。

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