【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 いつもは花売りの仕事のために持っている、花が入った大きな籠がないと走りやすかった。

 広場にある、大きな檻の中。

 身嗜みを整えることも出来ずに無精髭が生えてきているリカルドは、この前に見たときのように中央にある椅子に座ったままで眠っていた。

 檻の中にはもちろん、寛ぐようなベッドなどは用意されていない。

 スイレンは眠るリカルドの様子を見て、吹きすさぶ風に吹かれた雨に濡れてしまっている彼の服を乾かすための魔法をそっとかけた。

 苦手な浄化魔法も声に出さずに心の中で必死に唱えてはみるものの、彼の服にある汚れが尋常ではないせいか、思ったように効かない。

 人の気配に気がついたのか、座ったままで眠っていたリカルドは目を開けた。

 そして鉄格子の隙間から檻の中の自分に浄化魔法を与えるために必死で手を伸ばすスイレンを見て、驚きで目を見張った。

 リカルドは無言のまま静かに立ち上がり、彼が起きるとは思わずに驚き固まるスイレンの目の前に来てから、ゆるく首を横に振った。

 それが何を意味するのか、スイレンは考えたくなかった。

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