【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 少しでも、彼の役に立ちたい。それこそが、スイレンがしたい唯一のことだったから。

 これまでの辛い生活の中、やっと自分の心に灯った小さな火をどうしても消したくなくて、スイレンは彼自身に拒否されてしまったらどうしようと泣きそうになった。

「あの。私、貴方の服を浄化したくて……余計なことをしてしまって、ごめんなさい……」

 小さな肩を縮こまらせて、しゅんとした俯いたスイレンは伸ばしたままだった片手を下げた。

 リカルドは無表情ながらも、彼の強い意志を示すようにもう一度首を振った。

 余計なことをしてしまって、嫌われたかもしれない。スイレンは、いよいよ泣きたくなった。

 檻の外にいる自分に近付いて来たリカルドは、吹きすさぶ横殴りの雨に濡れてしまいそうになっている。

 スイレンはその事に気が付いて、慌てて自分の上にある空気の傘をリカルドの頭上へと移動させた。

 生活魔法が苦手なスイレンには傘を一つしか生み出すことが出来ないので、自身の身体は土砂降りの雨にすっかり濡れそぼってしまった。

 その事に気が付き驚いた顔をしたリカルドは、もう一度スイレンを見つめて首を振った。

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