【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 スイレンはそんな彼女の姿を見てガヴェアに居た頃、顔も知らぬ人と結婚するように言われ、リカルドにもう二度と会えないと、泣いていたあの時の自分に重なるような気もして、ひどく悲しくなってしまった。

(あの時……もし、リカルド様が攫ってくれなかったら)

 そう思い至れば怖くて、自分の手を握ってくれている大きな手を握りしめた。

 リカルドも応えるように強く握り返してくれるから、こんな状況だと言うのに喜んでしまう気持ちが抑えられない。

「ロイドは、君を愛していたんじゃなかったのか。だから、形だけだとしても……俺という婚約者が居たイジェマに手を出したんだろう。だが……確かに言う通りだ。困ったな。君の父上にも、すぐ次の縁談があるからという条件で婚約解消にも、頷いてもらっているからな……婚約解消の書類はもう貴族院で受理はされてはいるが、前提の条件が崩れるとそれも反故にされるかもしれない。ロイドは、他に何と言っていたんだ? 別れるにしても、あまりに展開が急すぎるだろう」

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