【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】
 テレザにそう聞かれ、自分も出勤せねばならないことに気がついて、スイレンは慌てて用意していた荷物を持ち家を後にした。


◇◆◇


 本日引き受けていた仕事は、結局一日丸々かかってしまった。

 中堅貴族が主催をするパーティでの会場やテーブルの上での生花の飾り付けや、開会の挨拶時に大量の魔法の花を降らせて欲しいとの、いつものようにジョルジオを通じての依頼だ。

 スイレンはこれまでにも同じような依頼を何回かこなしてしまっているから、慣れているつもりだった。だけど、開始時に花魔法を使うタイミングを合わせる時は、やはり緊張する。

 宙に浮いた魔法の花の蕾が、ポンポンと音を立てて空中で色鮮やかな花に開花していく。

 花魔法を見慣れない参加者達から感嘆の溜め息が漏れて、その様子を見ていたスイレンは人を笑顔に出来たことで思わず嬉しくなって微笑んだ。

 仕事をしていて本当に良かったと満足感を得ることが出来るのは、こういった時だ。

 花魔法しか満足に使えないこんな自分でも、こんなに多くの人を笑顔にすることが出来る。そのことに、大きなやり甲斐を感じていた。

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