【書籍3巻発売中】ひとりぼっちの花娘は檻の中の竜騎士に恋願う【コミック3巻発売中】

2-4 黒竜

 通いのメイドのテレザも自宅へと帰ってしまい、家に一人残ったスイレンは家中の戸締りの確認をしてから就寝の準備をした。

 スイレンがベッドの中に潜り込んだ、その時。

 近くにある竜舎から、ひどく悲しげな鳴き声が高く響いたような気がした。

 スイレンは、慌ててカーテンを開けて窓の外を見た。満天の星空の下、星を隠すように一際黒い影がいくつも走っていた。

 魔物退治に行っていた竜騎士団の一部が、今帰還したのかもしれない。もしかしたら、リカルドやワーウィックも。

 スイレンは何故か心に感じた胸騒ぎを抑え切れずに、寝巻きから動きやすい格好に着替えた。階段を駆け下りて玄関を開けると、竜舎へと続く真っ直ぐな夜の道を走り出した。

 竜舎の中は、ざわざわとしていてとても騒がしかった。聞けば不安を感じてしまうような竜の悲しげな鳴き声が、いくつか響いていた。

(もしかして……魔物退治で、怪我人が出たの?)

 スイレンは、不安に思いながらもいつも通った大きな入り口を覗き込む。

 そして、思わず目を見開いた。ブレンダンが腕から血を流し、何人かが協力して青い氷竜クライヴから降ろされるところだったからだ。

 多くの竜達は、何故か不安そうにして入り口付近から離れない。帰ってきたばかりだと言うのに、竜騎士達は集まり深刻そうな顔をして、何かを話し合っている。

「ブレンダン様っ」

< 190 / 340 >

この作品をシェア

pagetop